- 配管工事の予算を組みたいが時間がない
- ざっくりでも良いので積算方法について知りたい
- インチダイヤ、インチメーターとは？
予算計上時期に配管工事を計画するも、日々の業務が忙しく、なかなか計画する時間がないという声をよく耳にします。
エムケー商事株式会社は創業12年。室蘭の製鉄プラント様、全道の発電プラント様に配管、継手、架台を多数納めてきました。
そんな配管のプロフェッショナルである弊社が、配管工事の見積り・積算方法について初心者の方向けに解説します。
予算計上まで時間がないあなたは、今すぐできる積算方法についてわかります。
プラント配管の基礎知識について知りたい方は、下記の記事をご覧ください。
>>プラント配管完全ガイド【発電所・工場初心者向けに基礎知識を解説】
プラント配管工事の簡単見積もり積算方法【工数✕単価】
「工数✕単価」は一番想像しやすい積算方法です。
想像してみてください。あなたの計画している配管工事で、何人の現場作業員の方が何日作業するのかを。
過去に類似工事があり、日報を取っている場合は、その人数を参考にするのがベストです。
その人数に様々な経費を含めた単価を掛けることで、おおよその工事金額を算出することができます。
例えば以下のとおりです。
工数：30人工 ✕ 単価：45,000円 ＝ 1,350,000円
※材料費は含まれません
とはいえ、配管工事を見積もる際には、様々な要素が関係します。
いざ詳細見積もりを取った際に、予算が足りなくならないよう、人工や単価を多く見積もっておくことをおすすめいたします。
【参考】過去のプラント配管工事の見積もり積算方法
現在はあまり使用されていませんが、下記の3つの積算方法もあります。
- インチダイヤ
- インチメーター
- 配管重量
いずれも材料を支給された上で、工事費のみを積算する方法です。
それぞれ解説していきます。
インチダイヤ
インチダイヤとは、溶接した距離の単位です。
1インチ（B）は25A、ダイヤ（D）は直径を意味しています。
たとえば、100Aの直管同士を突き合わせ溶接をする場合
1[D]✕4[B]=4DB
となります。
直管の突き合わせ溶接は1箇所のみなので、溶接リングは1リングです。
各配管径とインチダイヤの関係については下記の表にまとめています。※25A以下は25Aとして算出します
| 配管径 | 溶接リング | インチダイヤ |
| 25A | 1 | 1DB |
| 32A | 1 | 1.25DB |
| 40A | 1 | 1.5DB |
| 50A | 1 | 2DB |
| 65A | 1 | 2.5DB |
| 80A | 1 | 3DB |
| 100A | 1 | 4DB |
| 125A | 1 | 5DB |
| 150A | 1 | 6DB |
| 200A | 1 | 8DB |
エルボ、ソケットについては、溶接リングが2箇所となります。
たとえば、100Aのエルボを1つ溶接する際は
2[D]✕4[B]=8[DB]
となります。
配管径とインチダイヤの関係は下記の表のとおりです。
| 配管径 | 溶接リング | インチダイヤ |
| 25A | 2 | 2DB |
| 32A | 2 | 2.5DB |
| 40A | 2 | 3DB |
| 50A | 2 | 4DB |
| 65A | 2 | 5DB |
| 80A | 2 | 6DB |
| 100A | 2 | 8DB |
| 125A | 2 | 10DB |
| 150A | 2 | 12DB |
| 200A | 2 | 16DB |
チーズ（ティー）については溶接リングが3倍となります。
100Aのチーズを1箇所溶接する場合
3[D]✕4[B]=12[DB]
となります。
配管系・インチダイヤの関係は下記の表をご参照ください。
| 配管径 | 溶接リング | インチダイヤ |
| 25A | 3 | 3DB |
| 32A | 3 | 3.75DB |
| 40A | 3 | 4.5DB |
| 50A | 3 | 6DB |
| 65A | 3 | 7.5DB |
| 80A | 3 | 9DB |
| 100A | 3 | 12DB |
| 125A | 3 | 15DB |
| 150A | 3 | 18DB |
| 200A | 3 | 24DB |
配管レイアウトやアイソメ図からインチダイヤを算出して、単価を掛け合わせることで、見積もることができます。
たとえば、下記のような計算方法となります。
300[DB]✕5,000[円]=1,500[千円]
※材料費は含まれません
配管の仕様や現場の作業環境、溶接士の方のスキルにもよりますが、1日（7.5時間）で100~160[DB]と言われています。
インチメーター
インチメーター（DM）とは、配管径と長さを掛け合わせた単位のことです。
たとえば、配管径100A（4インチ）、長さが100mの場合
4[インチ]✕100[m]=400[インチメーター（BM）]
となります。
このインチメーターに単価を掛けることで、見積もりを積算することができます。
たとえば、下記のような計算方法です。
400[BM]✕6,000[円]=2,400[千円]
※材料費は含まれません
現在ではあまり使用されない積算方法ですので、参考程度にするのが一般的です。
配管重量
配管重量に単価を掛け合わせることで、見積もりを積算する方法です。
たとえば、下記のような計算となります。
2[t]✕1,700[千円]=3,400[千円]
こちらの単価についても、配管の規格、現場環境、溶接スキルなどによって、大きく変わります。
また、かなり古い積算方法で超概算です。
予算を組む際は参考程度にするのがよろしいかと思います。
公共建設工事標準単価積算基準による見積もり積算方法
公共工事においては、以下の3つを掛け合わせることで積算します。
- 公共工事設計労務単価
- 施工する配管の距離
- 公共建設工事標準単価積算基準の標準歩掛り
歩掛りとは、作業の手間を数値化した係数です。作業によって数値は大きく変わります。
手間は配管材料、作業環境によって変わるからです。
たとえば、SGPなのか、SUSなのか、そして屋内なのか、屋外なのかなど、様々な要素によって、係数が決められています。
北海道において蒸気配管100AのSGP（黒）を100m溶接にて施工する場合は下記のとおりとなります。
20,900[円]✕100[m]✕0.467=976[千円]
※材料は含まれません
詳細を知りたい方は「国土交通省機械設備工事積算マニュアル」という書籍がおすすめです。
【書籍】プラント配管工事工数の合理的な見積法について
プラント配管工事を見積る上で、参考になる書籍としては「プラント配管工事工数の合理的な見積法」もあります。
基本的な知識から、プラント配管工事に関わる様々な作業の標準的な工数がわかります。
また、プラント配管工事の見積もり例も記載されているので、大変参考になるでしょう。
会社に1冊あっても便利かと思います。
プラント配管工の単価について
プラントの配管工の1日当たりの労務単価を調査しました。
配管工 18,000~26,000円
溶接工 22,000~30,000円
※元請会社か一次会社か二次会社によって変動します
令和3年の公共工事設計労務単価の調査結果は下記のとおりです。
配管工 18,100~23,500円
溶接工 21,400~32,000円
※地域によって変動します
まとめ：プラント配管の見積もり【単価・積算方法をわかりやすく丁寧に解説】
以上、プラント配管の見積もり、積算について解説しました。
まとめると以下のとおりです。
- 概算見積もりは「工数✕単価」
- 参考程度の見積もり方法は「インチダイヤ・インチメーター・配管重量」
- 公共工事は「標準単価✕配管長さ✕歩掛り」
- 労務単価は18,000~32,000円/日で、所属している会社、地域によって大きく変わる
エムケー商事株式会社では創業から12年、製鉄、発電プラントに配管、継手を納めてきました。
プラント配管で何かお困りの際は、お気軽にご連絡くださいませ！
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